小さくても明るく開放的な家=「ニームズハウス」
敷地は東京都23区内。土地購入前に相談を受け、敷地を確認したところ86.37㎡という狭小地、かつ旗竿形状であった。いわゆる激ムズプロジェクトである。お客様の要望を確認したところ個室が3室ととにかく明るいLDKを希望、収納は充実させたいということであった。隣地の建物との間隔は民法ギリギリ1m程度しか離せない。またボリュームスタディを行った結果、延べ床面積は80㎡程度しか確保できないことも発覚した。
以上の条件から、ハイサイドライト(高窓)やトップライト(天窓)による採光方法をもつ、空に抜ける住宅を提案することにした。
実施設計中に困難を極めたのが法規チェックとコスト調整であった。通常の斜線制限に加えて高度斜線の制限が加わることで2,400mmという地方では標準的な天井高さの設定が不可能、かつ余裕をもった天井懐も確保できないことが分かったのである。この制限を積極的に解釈することで、2階のLDKは天井高さ2,100mm~4,000mmの勾配天井を持つダイナミックな空間となり、1階の個室は構造の梁がアクセントとなる折上げ天井のリズミカルな空間となった。設計の自由度(特に法規的条件)が厳しくても、出来上がる空間の豊かさは低下しないという貴重な経験となった。(東京の建物が面白いのは予算が豊富にあるということだけではなく、諸条件の厳しさにも由来しているのかもと個人的に感じている。)
遠隔地でも設計は可能。地方(岡山)と東京を結ぶリモートワーク。
打合せはteamsを使用した。高校の同級生ということもあり、お互いの都合に柔軟に対応した結果、打合せ時間は比較的深夜になることが多かった。夜遊び感がところどころ滲み出つつも、まじめに画面上でCGパースなどを共有しながら打合せを行った。コロナ禍において気軽に出張できる機会がなく、引越し後の訪問が出来ていないが、おしゃれな家具に囲まれた生活風景を見に行きたいと思っている。