一級建築士事務所 別枝大輔建築研究所

建築作品ギャラリー

HOUSE 2YaNLDK

昭和54年に建てられた築38年の住宅のリノベーション

ペット事業をされている企業様から「猫専用の賃貸住宅」を設計してほしいとご依頼いただきました。猫を取り巻く賃貸住宅市場をリサーチすると、入居者側と大家さんの立場で大きなギャップが生まれていることが分かりました。前者は空前の猫ブームということもありより魅力的な物件に住みたいという強い要望があり、後者は猫賃貸の退去後にかかる莫大な補修費用を敬遠する動きがありました。この結果、ペット可と呼ばれる物件が数多くホームページに掲載されているにも関わらず、ボロボロの状態の最期を待つような物件が多くを占めるようになっていました。

「ペット共生住宅へのリノベーション」という答え

まず「猫を飼う」から「猫と住む」という考え方をしてみました。人間の立場から考えると壁とか床とかボロボロの傷だらけにはされたくない。猫の立場からすると何か興味があるものはひっかいてみたい。建築家としてこの両方の立場に寄り添えないか?というところから設計をスタートさせました。
猫が楽しく生活している風景を見られる。→買主はその風景を見ると嬉しくなる。→もっと猫が楽しめるような住宅へ簡単にカスタマイズできる。→猫がもっと楽しく生活できる。といった好循環が生み出せればいいと考えました。

使用する材料も共生?!

部材を新しく取り換えてきれいにしてしまうのではなく、上から材料をかぶせる手法を使い再生します。新しい部分と古い部分が共存している状態を目指しました。新しい部分はOSB合板という市販の材料を使い、今後のメンテナンスに備えるようにしています。古い部分は繊維壁の状態を確かめ、まだ使える部分は上から弾性のある塗料で白く塗装し手直ししました。

今後の展開

このような築年数の経った空き家が今後増えていくことが明らかになっています。この社会問題に事業性とデザイン性の2面から提案できる事業モデルとして、ペット共生住宅を増やしていくことができればと考えております。

※1 入居者も無事に決定しております。9万円という周辺相場よりも優位な家賃設定です。リノベーション工事の表面利回りも10%を超えており、古いご自宅をお持ちの方もご相談いただける内容となっておりますので、お困りの方はぜひ一度ご相談ください。

※2 OHK なんしょん? にも取材いただきました。

物件番号
No. 00002
竣工年月
2016年3月
延床面積
74.52m²
総工費
750万円
工法
木造2階建て

担当大工・工務店からのみどころ

尾関工務店大工・木浦さんより

横に長い水平出窓や庭につくった板塀が想像以上に難しく大変でした。作っている最中も仕上がりがどうなるか分からずに進めていましたが、出来上がってみると間接照明などの効果もあり、しっかりと建物のイメージを印象付ける重要な部分になっていてとてもやりがいがあったなぁと思っています。
キャットタワー替わりの棚板、昔の太鼓梁、2階床に小さな穴をあけることなど、猫のための動線確保には随分工夫されていて、こんな細かいことまで考えるのだなぁと見ておりました。家の中のブルーの建具は秘かにドラえもんカラーと名付けております。(猫つながり)
猫専用の賃貸らしい建物に仕上げられたと満足しております。

お客様の声

株式会社アムリット.DC様より

このプロジェクトを進めるにあたって、ペット専用賃貸と言われているものの質を向上したいという考えがありました。少し古くなってしまったからペット可にして入居者を募集するのではなく、そこに何か手を加えることで新しい付加価値を生み出し、ペットと一緒に過ごせる場所が作れないかと思ったのです。

ちょうどその時に別枝さんがリノベーションをしたいという話を持って来てくださったのでそこから話がトントン拍子に進みました。物件もタイミングよく見つかり、この中古住宅なら物理的に大丈夫だとお勧めしてもらいプロジェクトが進みました。

最終的な仕上がりはさすが建築家さんだという印象です。それ以上に感心したのが、家賃相場の話やコスト管理の話も一緒にまとめることができ、プロジェクトパートナーのような立場にいてくれたことです。不動産や建築業界とのつながりのない会社にとってはまさに必要な存在ではないでしょうか。これからもこのスキルを活かして新しいプロジェクトを増やしていってほしいと思います。

そのほかの建築作品

閉じる